ある系が特定の量子状態にあるときは通過させ、そうでないときはブロックするようなフィルター操作。特に複数の系のそれぞれを個々には測定せず、系の間の関係性だけをフィルターするときに用いられる言葉。たとえば、二つの光子の偏光が何であれ、「同じ」であれば通過させ、異なるときはブロックするとき、古典的には、それぞれの偏光を測って同じであれば通過させることになるが、これでは二つの光子の偏光の間のコヒーレンス(位相関係)を壊してしまう。このとき量子フィルタリングを用いれば、個々を見ずにフィルター操作が行える。このように、個々を見ずに全体の関係性だけ測定することを一括測定(joint measurement)と呼ぶが、偏光やスピンの場合は特にパリティーチェック(quantum parity check)と呼ばれ、極めて応用範囲が広い。また、量子もつれ(→「エンタングルメント」)の有無を選別する量子もつれフィルタリング(entanglement filtering)というものも考えられる。これは二つの粒子がもつれていれば通過させるものであるが、このとき当然個々の粒子を測定したら量子もつれが壊れるので、一括測定が不可欠となる。