カーボンナノチューブ(CNT)は優れた伝導特性のために、同じ径の従来の金属に比べ100倍以上もの大きな電流を流すことが可能で、さらに容易に曲げることができ、安定で強靭(きょうじん)である。集積回路で用いる複雑な配線をCNTに置き換えられれば、理想的な配線が期待される。特に垂直方向の接続に縦に束ねたCNTを使うことが考えられており、優れた電気特性に加えて、その高い熱伝導率により集積回路の放熱が効果的に進められることが期待される。細い銅線で問題になるエレクトロマイグレーション(電子の流れに沿って原子が動く現象、微細な配線では断線の原因になる)が生じにくい大きな魅力もある。CNTを撚糸のように束ねる技術も研究されている。垂直に伸びるCNTと水平に広がるグラフェンを結合した三次元構造も試みられている。