光の波長に対応した周期構造を作製し、光に対するバンド構造を操作するフォトニック結晶が着目されているが、その作製の困難さからほとんどの試みが二次元のフォトニック結晶に限定されてきた。しかし、三次元加工法や堆積(たいせき)法に工夫を加えたり、前もって作製しておいたマイクロスケール(μm : 10-6m=100万分の1mレベルのスケール)の二次元フォトニック結晶を積み木を積み重ねるようにナノスケール(nm : 10-9m=10億分の1mレベルのスケール)で制御して重ねたりすることで、周期性が三次元方向にきちんとそろった、理想に近い三次元フォトニック結晶が得られるようになった。積み重ねる二次元フォトニック結晶層の中央層のさらに中央に量子ドット(電子を三次元のどの方向にも閉じ込められる構造)を配置することで、量子ドットからの発光と三次元フォトニック結晶の特性を理想的に組み合わせた量子ドット光デバイスが可能になり、このように作製したレーザーは非常に小さい電流で発振することが期待できる。量子ドットの数を一つにすることで量子暗号通信の光源など量子情報処理分野への応用も見込まれる。