ナノサイズ(1nm〈ナノメートル nは10-9=10億分の1〉サイズ)の粒子の中で高い発光効率を示すもので、照明やディスプレー、光電子デバイス、バイオマーカー(生体内の状態を把握するための指標)などへの応用が期待されることから、最近注目されている。ナノ粒子では量子サイズ効果が生じることで、大きな構造とは違う波長で発光するほか、大きな構造では発光しない間接遷移半導体などの発光効率が向上する特徴もある。粒子の寸法や構造により発光波長を変えることもできる。従来からセレン化カドミウムやテルル化カドミウムのナノ粒子が発光粒子として使用されてきたが、バイオマーカーとして使用した際に、カドミウムなどが細胞に悪影響を及ぼす問題があった。この問題がないナノ粒子の開発が進められ、インジウムリンなどの化合物半導体ナノ粒子、さらにシリコンナノ粒子も作製された。直径5nm程度のシリコンナノ粒子は、わずかな構造の違いで、赤、緑、青の3色すべてで光るほか、紫外線を出すことも確認された。