これまで炭素同士が立体的なsp3結合をするダイヤモンドが唯一の炭素の三次元結晶構造と考えられていた。最近この常識を覆したのが、「K4」と名付けられた炭素の三次元新結晶である。この結晶はグラファイト(graphite 結晶度の高い炭素)やそれを一層はがしたグラフェンと同様に炭素同士が平面的なsp2結合をしているが、グラファイトなどとは異なり三次元的に共有結合した構造体である。ダイヤモンドとも異なる構造で、数学的にその存在が指摘されていたが、スーパーコンピューターによる計算でその性質が明らかになってきた。ダイヤモンドよりは軟らかいが、グラファイトよりは硬い。電気を通し、金属的な振る舞いをする。三次元構造を有するので、カーボンナノチューブでは困難であった三次元的に安定な配線に応用できるほか、他の元素を加えることでドーピングも可能になる。他の炭素系結晶と組み合わせることで全炭素ヘテロ構造(Hetero-structure 異なる素材が積層した構造)を作ることもできる。グラファイトに圧力をかけると出現する可能性があり、その実現が待たれている。