わずかな数の金属原子を絶縁体中で原子のスケールで移動させる原子スイッチの延長で、すでに実用段階にある原子スイッチを三端子構造にして、そのうちのゲート端子に加える電圧により原子スイッチ特性を制御できるようにしたもの。デバイス(素子)の構造や動作条件を選ぶことで、ゲート電圧により「オン」と「オフ」(デジタル信号の「1」と「0」に相当)を切り替えるトランジスタも、移動した金属原子がその位置にとどまるメモリーデバイス(記憶素子)も実現することができる。少数の原子が絶縁体を移動するだけなので、動作に必要な消費電力も小さい。なお、ここでは原子が動くことにより機能するアトムトランジスタを紹介したが、全く別のトランジスタをアトムトランジスタと呼ぶケースもある。例えば、半導体中でその働きを変化させるドナーとして働く不純物原子を1個だけ用い、その周囲に捕獲された1個の電子を用いた単電子トランジスタが実現されている。このようなトランジスタを、「原子1個の特性を利用して動くトランジスタ」の意味でアトムトランジスタ、あるいは単一アトムトランジスタと呼ぶこともある。