人工的に生体のシナプス機能を再現した素子または、システムをさす。電子回路でシナプス機能を再現したものと、たんぱく質などの生体パーツを利用して生体模倣的に再現したものに大別される。前者では、銀原子の電極間の架橋状態を電気的に制御することで結合強度を変化させるという、原子スイッチを利用したものが報告されている。信号入力頻度により、結合強度が変化するため、特別な回路を必要としない点でユニークである。これはシナプス素子(synapse device)などと呼ばれ、シナプス機能を有するコンピューターなどへの展開が期待されている。後者は、シナプスの構成要素である受容体たんぱく質と細胞膜(脂質二分子膜)をナノサイズの電極チャンバー上に再構成することで、シナプス後細胞(信号を受け取る側のシナプス細胞)を模倣した構造体を構築している。神経伝達物質の量や頻度に応じて電気活動を再現できる点でよりシナプスに近く、工学だけでなく、生体への埋め込みなど医療応用展開が期待されている。