素粒子論研究者であったE.マヨラナ(Ettore Majorana)が1937年に理論的に発見した、反粒子が粒子と同じになる奇妙なフェルミオン(半整数値のスピンをもつ素粒子。フェルミ粒子とも)。マヨラナ・フェルミオンが注目される大きな理由は、その性質として、生成と消滅の区別がつかないため、通常の統計とは異なる特殊な統計に従う性質があるからで、この性質のおかげで雑音に強い量子計算(quantum calculation 量子力学の重ね合わせの原理を利用する計算)への応用が期待されている。このマヨラナ・フェルミオンが固体中に存在することを示唆する実験結果が2012年に報告され、物性物理の分野で注目されている。この実験では、スピンと電子の運動の相互作用が大変大きいインジウム・アンチモン(InSb)ナノワイヤ(ナノスケールの細線)に超伝導金属を接触させることで、マヨラナ・フェルミオンの存在を示唆するデータが得られている。