平面状にナノ構造を作製するのに比べて、三次元のナノ構造を作製するのは容易ではない。しかし、三次元フォトニック結晶やナノ電子回路の集積化には三次元構造が必要になる場合が予想される。一般に三次元構造の作製には、二次元構造を重ねていく方法に加えて、イオンビームを用いて彫刻のように削っていく方法、電子ビームやイオンビームで誘起される化学反応を利用して構造物を三次元的に堆積する方法、ナノインクジェット印刷を用いて三次元的に構造を積み重ねる方法などがある。また、光に反応して、固化したり溶液に溶ける特性が変化したりする材料を用いて、光ビームを操作しながら光強度の強いところを順次移動させていくことで三次元造形を行う手法もある。しかし、これらの手法の多くは、三次元構造の形成はできるものの、そのスケールがなかなかナノテクノロジーのサイズには届かない。これを補う技術として、材料の熱分解特性を活かして三次元構造形成後に高温で熱処理することで全体を縮小する技術も実証されており、マイクロメートル(μm:10-6=100万分の1m)サイズを5倍縮小してナノメートル(nm:10-9=10億分の1m)サイズにした三次元格子構造も実現されている。