メタマテリアルの特徴を活かして、色を作る試みがなされている。具体的には絶縁体薄膜とアルミニウムなどの金属薄膜を利用するもので、金属薄膜を数百nm(ナノメートル:10-9m)の四角形が繰り返し並んだ構造に加工する。微細な四角形の金属に誘起された正負の電荷と、それを打ち消すようにその下に発生する電荷が相互に作用することで、特定の色(波長)の光のみ吸収する構造が実現される。この構造に白色光をあてると、吸収されない波長の光が反射され、その色に見える。四角形のサイズや間隔を変えることで、吸収される波長を変化させることができ、結果的に赤から紫の可視光域をカバーするさまざまな色が実現された。電子顕微鏡で見ると、さまざまなアルミニウムの微細な構造が並んでいるだけであるが、これを白色光のもとで見ると、色の付いた絵になる。赤、青、緑を示す微細構造を一か所に集積することで、ちょうど絵の具を混ぜたときのように黒を実現することもできる。一般の塗料と異なり、色があせることがないだけでなく、塗料よりもずっと薄い膜で色が付けられるため軽量化を図れる特徴がある。微細構造の表面に分子などが吸着すると色が変わることが期待されることから、センサーとしての応用も考えられる。メタマテリアル・カラーは広い意味では構造色の一つとしてとらえることができる。