マントルを構成する物質の岩石学的モデル。オーストラリアの地球物理学者A.E.リングウッドが提案した。リングウッドは、始源的なマントル物質が融解して、海洋底玄武岩が生成し、溶け残った物質がリソスフェアを構成するかんらん岩(ペリドタイト)になったと考え、ペリドタイトと玄武岩が3対1の割合で混合したものを始源マントル物質であるとし、パイロライトと名づけた。パイロライト組成の混合物は、上部マントルでは、かんらん石(高圧下ではスピネル、ペロブスカイトといった鉱物になる)、輝石、ざくろ石などの鉱物からなり、これらの密度や地震波速度から地球内部構造モデルをつくり、地震学上の観測結果と比較して、実際のマントルがパイロライト組成であるかが調べられている(→「マントル遷移層」)。