対流圏と成層圏の境界付近を流れる狭い領域に集中した強い風。長さは数千km、幅数百km、厚さ数km、風速は最大で秒速100m(時速360km)を超えることもある。ジェット気流には、中緯度から高緯度を流れる寒帯前線ジェット気流と、緯度30度付近を流れる亜熱帯ジェット気流がある。日本付近は、この2つのジェット気流が合流することが多く、ジェット気流の風速が世界でもっとも大きい。ジェット気流の付近では、南北方向にも上下方向にも風速差(ウィンドシア)が大きく、航空機の快適安全な運航に影響を及ぼす晴天乱気流が発生しやすい。またジェット気流は低気圧や高気圧の発達との関連も深い。第二次大戦中、サイパン島から日本を爆撃に向かう米軍機が強い西風に悩まされたことがジェット気流発見の端緒となったと言われているが、日本では大正時代にジェット気流の強い風が観測されていた。