中緯度や高緯度の上空を西から東に吹く風のこと。対流圏の気温は、低緯度で高く、高緯度で低い。この温度差が偏西風の原動力である。南北の温度差は、冬に大きく、夏に小さいので、偏西風も冬が強くて夏が弱いという季節変化をする。上下方向にも変化しており、対流圏では上空に行くほど偏西風の風速が速い。成層圏との境界付近では噴流のような強さになり、ジェット気流と呼ばれる。日本付近では、低気圧や高気圧は偏西風に流されて西から東へと移動する。黄砂も偏西風に乗って中国大陸から運ばれてくる。偏西風は西から東へと直線的に吹いているのではなく、波状に南北方向に蛇行しながら地球をひと回りしている。蛇行の形は時間とともに変化するが、蛇行が大きくなるにつれて低気圧や高気圧が発達するという関係にある。また、偏西風は蛇行しながら空気をかきまぜており、地球の南北の温度差を軽減する役割も果たしている。