太平洋赤道域の中央部から東部にかけての海面水温が低い状態が1年程度続く現象。同じ海域で海面水温が高くなるエルニーニョ(スペイン語で男の子)とは対照的な現象なので、ラニーニャ(スペイン語で女の子)という呼び名が定着した。気象庁ではラニーニャ現象の定義を、監視海域(西経90~150度、北緯5度~南緯5度)の海面水温の5カ月移動平均値が6カ月以上続いて、基準値よりマイナス0.5度以下の低温になった場合としている。ラニーニャ現象の期間中は、海面水温の低い太平洋赤道域の中央部から東部では気圧が高くなり、西部では気圧が低くなって平常時よりも東風が強まる。東部では冷たい海水が深いところからわき上がって低温を維持する。一方、西部の海域には温かい海水が東風に吹き寄せられて蓄積する。温かい海水のインドネシア近海では、積乱雲が盛んに発生して降水量が多くなる。さらに中高緯度地域もラニーニャ現象の影響を受け、日本では夏の気温が北日本は高く、沖縄は低い、冬は東日本から西日本、沖縄の気温が低いなどの傾向が見られる。