対流圏の下部から上部まで、巨大な塔のように鉛直に発達した雲。高さは1万メートル以上になるが、寿命は30分から1時間程度と短い。入道雲、雷雲ともいう。雲頂が対流圏の上端に達して水平方向に広がるかなとこ雲を伴うことが多い。積乱雲より規模の小さい積雲の雲粒は水が多いので雲の輪郭が明瞭だが、積乱雲の上部は氷晶が多いので、繊維状あるいは毛のような筋状にほつれていたり、輪郭がぼやけてはっきりしない。積乱雲の底は暗く、雨や雪が激しく降り、断続的に雨や雪の降る強さが変化する。ときには霰(あられ)や雹(ひょう)も降る。積乱雲の中では氷晶と霰の衝突で分離した電荷が蓄積して放電(落雷)すると電光(稲妻)や雷鳴が生じる。日射で下層の空気の温度が上昇したり上層に寒気が流入して上下の温度差が大きくなったり、下層に流れ込んだ湿った空気に含まれる水蒸気が凝結するときに放出する凝固熱(潜熱)による加熱によって、空気が浮力を受けて積乱雲にまで成長するのに必要な強い上昇気流が生じる。積乱雲に伴って強風をもたらす竜巻やダウンバーストが発生したり、積乱雲が群れをなすとゲリラ豪雨になったりする。