対流圏の下層から中層の高さに、中国大陸や東シナ海などから日本列島にのびる幅300~500キロメートル程度の、大量の水蒸気を含む湿潤な領域。700ヘクトパスカルなどの高層天気図でみると湿潤域が舌のような形に似ていることが多いので湿舌と呼ばれる。高さ1キロメートル以下の地表面近くを太平洋や東シナ海から湿った空気が湿舌に向かって流れ込むところ、すなわちそのような湿潤気流と接する湿舌の南側の地域では集中豪雨や大雨が発生しやすい。前線帯などに南から湿った空気が流れ込むと、対流活動がさかんになり水蒸気が次々に上空へと運ばれる。その水蒸気が上空の西風で東に流され、東西に細長くのびた湿舌が形成される。このように湿舌は集中豪雨や大雨の原因ではなく、むしろ湿舌は集中豪雨や大雨をもたらす対流活動の結果として生じている。