200ヘクトパスカルの等圧面天気図を書くと、ちょうどチベット高原を中心に大きな高気圧を書くことができるので、これをチベット高気圧と呼んでいる。これと対照的に、太平洋中央部には、大規模な気圧の谷が形成されており、ミッド・パシフィック・トラフ(mid pacific trough)と呼んでいる。一般的に、熱帯域では、積乱雲に伴う凝結熱により大気が加熱される。大気中で加熱が起きると、地表面は低気圧になり、上層は高気圧になる。この理由は、大気加熱に伴い上昇流が発生することである。そのため、下層では周囲から空気が流入しなければならず、中心部分の気圧が周りより低くなる一方、上層では上昇してきた空気が周囲に吹き出す必要があり、周りより中心部分が高圧になるのである。チベット高原の高度は4000~5000メートルであることから、季節の進行に伴い地表面が加熱され、その暖かい地表面がその上の空気を加熱する。さらに季節が進むと、南から水蒸気が運び込まれて積乱雲が発達することになる。このような加熱により、上層に高気圧が形成される。