Tropical Rainfall Measurement Mission(熱帯降雨観測衛星)の略。日米共同で打ち上げられた熱帯地方の降水量を観測する衛星ミッションである。世界で初めて、日本が開発した降雨レーダーを搭載したことで有名である。1980年代から、日本の電波研究所(のちの通信総合研究所、さらにNICTとなる)とNASAとの間で宇宙からレーダーを用いて降水を測る共同研究が行われていたが、日本が打ち上げと降雨レーダー(PR)を、NASA側が、衛星と他の四つのセンサー(マイクロ波のTMI、放射観測のCERES、可視赤外放射計のVIRS、雷観測のLIS)を提供することで、ほぼ半分半分の費用負担で行われた日米共同の衛星プロジェクトである。97年12月、種子島からH2ロケットで打ち上げられた。3年の設計寿命であったが、予想に反して長持ちし、2015年4月に運用を停止した。これには、当初の軌道高度350キロメートルから01年8月に402.5キロメートルに高度を上げたことが寄与している(空気が薄くなり抵抗が減り、燃料の減少が少なくなる)。途中で、安全を確保するために燃料が残っているうちに人に影響を与えないように大気中に突入させるという話が持ち上がったが、日米の研究者の強力な反対で延命し、17年の長寿命を誇ることとなった。降水観測は、後継のGPMに引き継がれた。