海上を吹く風の力によって生じる、大規模な海水の循環のこと。海洋の表層(海面から深度数百メートルくらいまで)で生じる海流の原因となる。海洋の表層を流れる海流の分布からみて、海盆にはいくつもの海流の循環がみられる。これは風が直接海洋に運動量を与えて駆動させるのではなく、風は海面近くの数十メートルにだけ作用し、弱い鉛直流を発生させる。表層の水が移動することによって深いところから海水が上昇してくる。その鉛直流が間接的に海洋内部の南北流を引き起こす。コリオリの力によって、北半球では風の向きに対して直角に右方向、南半球では直角に左方向に流れる。また、海盆の西側では西岸境界流と呼ばれる強い流れが生じる。メキシコ湾流や黒潮がその例である。風成循環では流れは秒速1 センチメートル程度であるが、熱塩循環ではその10倍ほど早い。これは北太平洋中緯度(日本南岸から赤道程度の緯度)の時計回りの風成循環の例で説明される。日本の上空には偏西風という西から東の流れがあり、それより緯度の南側の部分では貿易風といわれる、東から西向きの流れが卓越風である。風の向きとコリオリの力を適宜変更すれば南極環流以外の風成循環は説明できる。