海洋研究開発機構(JAMSTEC)が開発している世界最深の1万2000mまで潜航できる次世代の有人潜水船で、2023年をめどに運用が計画されている。1990年に就航した潜水調査船「しんかい6500」(以下、6Kとする)はすでに1500回以上の潜航を行っており、建造以来25年以上も経っていることから代替え船が必要になってきている。6Kは、かつて世界最深に行ける有人の潜水船であったが、7000mまで潜れる中国の「蛟竜号」(Jiaolong)の登場で最深の座を譲っている。従来の船型では最深部の10920mへ潜るのには246分、往復では8時間以上もかかることになり、1日では戻って来られない。そのため、6Kは日帰りであったが、しんかい12000(以下、12Kとする)は1泊2日が考えられている。酸素は72時間分積んでいるので、3日の滞在は可能である。12Kは船型が6Kとは大いに変わり、観察窓は研究者が全面を見られるような強化ガラスで造られ、もう1つ居住区が設けられ、そこで寝泊りできる。6Kでは乗船人員は3名であるが12Kでは6名の乗船が可能である。ちなみに、有人で最も深く潜ったのは「トリエステ」(1960年、マリアナ海溝)で、半世紀ほど経った2012年には、アメリカの映画監督、ジェームス・キャメロンが一人乗りの潜水船「ディープシー・チャレンジャー」でマリアナ海溝に潜っている。