2009年、すばる望遠鏡などの研究により発見された最も遠方にある巨大ガス雲。謎に満ちた古代日本の女王・卑弥呼にちなんで命名された。くじら座の遠方およそ130億光年の位置にある。宇宙誕生から約8億年後に相当し、きわめて若い天体と考えられる。約5万光年の広がりがあり、この時期の天体としては例外的に大きい。ビッグバン宇宙論によればこの時期は宇宙再電離期と呼ばれ、誕生したばかりの中性水素から第一世代の天体が生まれた頃である。そうした天体に比べてヒミコは10倍もの質量があるが、ヒミコ程度の天体が見られるようになるのは宇宙誕生後20億~30億年のことと考えられており、あまりに若いヒミコは奇妙な存在である。また、09年11月、ちょうどこの時期にあたる銀河22個を発見したと日米の研究者が発表した。モンスター銀河の存在も明らかになり、宇宙誕生直後における星形成のプロセスは決して単純ではなかったと思われる。ヒミコはそうした宇宙初期を考える上で大きな手がかりになるものと期待される。