1960年代にアメリカで誕生した、実用化されつつある科学技術の社会的な影響を評価し、望ましい科学技術の発展方向を見いだそうとする試み。当時、公害問題など、科学技術の負の側面が目立ったことが背景にある。他方で、技術の未来予測の側面も含む。72年には、アメリカ議会に技術評価局(OTA ; Office of Technology Assessment)が設置された(95年に廃止)。アメリカの影響を受けたヨーロッパでは、80年代に、オランダのNOTA(後にラテナウ研究所と改称)のようなテクノロジー・アセスメントのための機関が各国に設置され、そのネットワークも設立された。FP7(第7次研究枠組み計画)に基づいて欧州委員会の資金で2011年に設立されたPACITA(Parliaments and Civil Society in Technology Assessment)の4年間の活動成果も注目される。日本では、69年ころから産業界や通産省、科学技術庁(いずれも当時)を中心に関心が持たれ、70年代前半にいくつかの試みがなされた。しかし、環境アセスメントの形態以外は定着しなかった。科学技術の社会的インパクトが強くなったことから近年再び注目されるようになり、第四期科学技術基本計画では、そのための機関の設置の検討が提言された。従来のテクノロジー・アセスメントは専門家によってなされるものであったが、80年代以降、参加型のテクノロジー・アセスメントの一種であるコンセンサス会議などが広まっている。遺伝子組み換え技術などのように、一般市民が利害関係者になる場合が増加しているためである。このほかに、新技術の影響をその初期から専門家とステークホールダーがともに考え、その上で技術を進めるという、構築的テクノロジー・アセスメント(CTA)という考え方も注目されるようになっている。