自然数nについて、π(x)をx以下の素数(1と自身以外に約数をもたない2以上の数)の個数と定義する。この関数がどういうものであるかを決定すると、素数の分布が明確になる。2,3,5,7,11,13,17,19,23,29,31,……と、素数を並べると、分布が不規則に見える。しかし、大きなスケールでは、規則性がある。これを見るために、π(x)をx以下の素数の個数とする関数として、π(x)を調べると、図「素数の分布」のような階段状のグラフになる(図はx≦100の範囲)。
これくらいの段階では、グラフは階段状で、連続的な関数に近似することは考えられない。しかし、ガウスは15歳のとき、xを大きくすると、π(x)が
に限りなく近づくことを発見した(この対数の底はe)。この近似式は100年たって、証明された。なお、この関数は、
と近似されるので、粗い言い方では、「π(x)はに近づく」と言うことがある。このように解析による整数論研究の方法を解析数論(analytic number theory)といい、素数分布の解明の問題がリーマン予想へとつながっていく。