1935年にA.アインシュタインらは量子力学の確率的性格を批判して「実在の完全な記述でない」ことを示す議論を提出したが、ベルの不等式による判定という後の実験で彼らの期待は裏切られた。この議論で彼らは次のようなEPR状態(Einstein-Podolsky-Rosen state)を考えた。例えば、反対の偏りをもつ二つの光子が左右反対方向に遠ざかるとき、その偏りを+、-で書けば、(〔右、+〕・〔左、-〕―〔右、-〕・〔左、+〕)の重なった状態は、遠距離でももつれ合った相関をもつ。このもつれ合った状態を、例えば「右」で観測すれば偏りが「+」か「-」かの確率は半々であるが、観測結果が「+」なら、離れた「左」の偏りは瞬時に「-」に定まる。それはあたかも、瞬時に「右」の結果が「左」に伝わったようなものであり量子テレポーテーション、量子暗号などの新技術に発展するとされている。