量子力学的に絡み合った二つの粒子の一方を観測すると、測定によって決定された状態が光速を超えて瞬時にもう一方に影響すると考えられ、これを量子テレポーテーションという。A.アインシュタインらは、その考えは相対論に反すると1935年に指摘し、これをEPRパラドックスという。EPRパラドックスを検証する実験的手段がC.H.ベネットによって提案されたのは93年で、A.ツァイリンガーらによって実際の量子テレポーテーション実験として行われたのは97年ごろのことである。その後、日本のグループも含め、その成功度は着実に進歩してきたが、2012年になって、ワーテルロー大学などのヨーロッパのグループが大西洋のカナリア諸島で143kmの長距離間で成功。続いて、中国科学技術大学などのグループが内陸の青海湖において100kmの距離での量子テレポーテーションに成功した。これにより、人工衛星との量子テレポーテーションが視野に入ったとされている。