BCS理論(→「超伝導」)から予想される限界よりはるかに高温(130K、つまり-143.15℃にも及ぶ場合がある)で超伝導を示す高温超伝導が、銅酸化物を含むセラミック系物質で見いだされている。理論的にはクーパー対を形成して高温まで維持する物理的機構がいまだに解明されていない。伝統的な超伝導と異なり、高温超伝導はモット絶縁体(→「強相関電子系」)が実現する物理的条件の近くに現れる。BCS理論が比較的妥当すると考えられる金属系物質でも、理論のほぼ上限値である39K(1K=-273.15℃)で超伝導転移を示す物質「二ホウ化マグネシウム」が近年青山学院大学のグループによって発見された。また、高温超伝導体もそうであるが、BCS理論で仮定されたクーパー対の等方性が破れた異方的超伝導(anisotropic superconductivity)を示す物質も見いだされている。これらを含めて超伝導の物理的機構はいまだ十分に解明されたとは言えない。