宇宙には反核子と陽電子からなる反物質は存在しない。原因はビッグバン宇宙の初期にあると考えられる。初期の高エネルギー反応時には粒子（particle　陽子〈proton〉、中性子〈neutron〉、電子〈electron〉）と反粒子（antiparticle　反陽子〈antiproton〉、反中性子〈antineutron〉、陽電子〈positron〉）はほぼ等量存在したが、低温になり、それらが合体して対消滅（pair annihilation）する際に、100億分の1程度の粒子・反粒子数の差の分が残存する。この「差」を生むにはバリオン数非保存とCP対称性の破れ、それに熱平衡からのずれが必要。このサハロフの三条件（Sakharov conditions）の出現に関しては諸説がある。