ニュートリノ(→「レプトン」)がワイル粒子であるかマヨラナ粒子(荷電共役の分類は不必要だが、区別があるとする仮定に基づく粒子が前者で、後者はなしとするもの)であるかを判定できる一つの現象が二重ベータ崩壊である。東北大学のニュートリノ観測装置カムランドでは、キセノン136の崩壊時にまれに現れるかもしれないこの現象を探索するカムランド禅(KamLAND-ZEN)プロジェクトが進められている。原子核のベータ崩壊では、電子あるいは陽電子のほかに必ずニュートリノが放出される。ところが、もしニュートリノが正反粒子の区別がないマヨラナ粒子であれば、陽子と中性子の間の転換が連動して二重に起こり、発生したニュートリノが原子核の内部で吸収されて、ニュートリノを出さないベータ崩壊が観測される。この禅(Zen)とは、「ゼロ・ニュートリノ」に因んだ名付けである。