ローレンツ変換(H.A.ローレンツによる、電磁気学の基本方程式が変わらないような座標変換)に対する対称性の要請は、逆に物理法則に現れることのできる量のタイプを決定する。この考え方は、ベクトル(大きさと向きによって表される量)のほかにベクトルの平方根にあたるようなスピノルという量を導き出す。P.A.M.ディラックはスピノルの場を電子に対応させ、陽電子を反粒子として予言し、的中した。その後、スピノルの場はニュートリノやクォークをも記述することがわかった。素粒子はその自転に対応したスピン(spin)という自由度をもつが、光子や弱ボゾンのベクトル場では、その量は整数値、スピノル場では半整数値である。スピンは、その粒子のしたがう量子統計を定め、スピンが整数のものをボゾン(boson ボーズ粒子〈bose particle〉とも)、半整数値のものをフェルミオン(fermion フェルミ粒子〈fermi particle〉とも)と呼ぶ。フェルミオンは一つの状態に1個の粒子しか入れない。