P.A.M.ディラックのスピノル理論によって予言され、陽電子(positron)・反陽子(antiproton)の発見で実験的にも確認された。反陽子と反中性子(antineutron)でできた反原子核(antinucleus)のまわりを陽電子が回っている反原子は、原子と同じ性質をもつ。反陽子は原子と衝突すれば、光や中間子に姿を変えて消滅する。理論的には存在してもよいはずなのに、反原子から成る反物質の天体は、なぜか存在していない。すなわち、宇宙では物質と反物質の存在はアンバランスである。今、
(原子数-反原子数)÷光子数
で宇宙のバリオン数(baryon number 陽子や中性子などの重粒子の数)という量を定義すれば、これは約10億分の1となる。このアンバランスの原因は、宇宙のビッグバンにより説明されると考えられている。