生体細胞の主要成分で、生命の源になる物質。糖質、脂質とともに三大栄養素の一つ。ホルモンのインスリン、酵素のトリプシン、栄養を貯蔵する卵アルブミン、血中で酸素を輸送するヘモグロビン、腱や軟骨などの成分のコラーゲンなどがある。分子量は約1万から数百万の範囲。成分に応じて、単純たんぱく質(simple protein)と糖たんぱく質(glycoprotein)、リポたんぱく質(lipoprotein)などに分類される。たんぱく質の特異的機能には、アミノ酸(amino acid)配列順序による一次構造(primary structure)、らせん状のα-ヘリックス(alpha-helix)か、ジグザグにのびたβ-シート(beta-sheet)か、糸まり状のランダムコイル(random coil)かによる二次構造(secondary structure)、さらに三次構造(tertiary structure)、四次構造(quaternary structure)(高次構造 higher order structure)で決まる。ペプチド鎖が切れなくても高次構造が壊されると、ゆで卵にみられるように、たんぱく質の構造や性質は著しく変化する(たんぱく質の変性 denaturation of protein)。ポストゲノム時代を迎え、産官学が協力して、主要と思われるたんぱく質の3分の1にあたる約3000種のたんぱく質の構造と機能を解析、特許化する「タンパク3000プロジェクト(Protein-3000 Project)」が2002年春に開始され、07年3月に多大の成果を収めて終了した。