アミノ基とカルボキシ基が同一炭素に結合したα-アミノ酸(α-amino acid)のうちのいくつかがペプチド結合(peptide bond)で結ばれている化合物をジペプチド(dipeptide)、トリペプチド(tripeptide)、ポリペプチド(polypeptide)などという。ポリペプチドはたんぱく質の主要成分である。天然には20種類のアミノ酸が存在するだけだが、最近多くの人工アミノ酸(非天然アミノ酸)、例えばヨウ素を含む人工アミノ酸「ヨード・チロシン(iodo-tyrosine)」が東京大学と理化学研究所のグループによって合成された。しかし、これまではたんぱく質合成の際に、天然アミノ酸と人工アミノ酸を正確に識別できる酵素は開発されていなかった。2008年度に同グループは、ヨードチロシンを選択的に組み込むことが可能な新規酵素を開発した。これによって人工アミノ酸を組み込んださまざまな非天然たんぱく質、いわゆる超たんぱく質の合成研究が盛んになる。超たんぱく質のあるものは、天然にはない優れた性質をもち、生物学の研究や医薬品の開発に役立つと期待される。