エマルジョン燃料ともいう。石油系燃料を水と混合してエマルション(乳濁液)にすると、燃焼効率が向上し、窒素酸化物(NOx)や活性炭素微粒子(スス)などの有害物質の排出を大幅に抑制することができる。石油系燃料をエマルション化するには、乳化剤として、水になじみやすい部分と油になじみやすい部分をあわせもつ界面活性剤(surface active agent ; surfactant)が用いられる。しかし、石油は産地によって成分に微妙な違いがあり、また、乳化する際の水との混合割合の違いがあると、界面活性剤を用いて安定な乳化状態を保つのに大変な困難があった。
2008年、神奈川大学の田嶋和夫教授らにより、親水性ナノ粒子を乳化剤とする新しい乳化方法の三相乳化法(three-phase emulsifying technology)が開発され、幅広く石油系燃料を安定的にエマルション化することに成功。未来環境対応型「スーパー・エマルション燃料(super emulsion fuel)」として報じられた。界面活性剤が油相と水相による二相の界面張力を下げ、さらに界面に保護膜を作って乳化させるのに対して、この三相乳化法は一般的な分子間力(ファン・デル・ワールス力)により親水性ナノ粒子で油粒子を被覆し、それを水に分散させたもので、汎用性がある。