ケプラー・ポアンソ多面体(Kepler-Poinsot polyhedron)とも呼ばれる。正多面体や半正多面体はその構造の美しさで古代から哲学者、数学者を魅惑してきたが、近年は化学者もまたそれらの美しさにひかれ、多面体構造をもつ分子を合成し、その特異な構造が示す機能を明らかにしてきた。多面体の各辺や各面を広げていくと、各面が互いに交差して凸ではない星形の正多面体ができる。東京大学の藤田誠教授とそのグループは、金属イオンMと曲がった配位子Lを組み合わせ、自己組織化の手法で立方八面体M12L24を合成し、さらに6個の頂点を追加して星形多面体M18L24の合成に世界に先駆けて成功した。追加された6個の頂点は、立方八面体M12L24の窓をふさぐ働きをしているが、この頂点、すなわち蓋(ふた)は可逆的に取り除くことができる。M12L24に薬物を仕込むことができれば、これは星形多面体M18L24がドラッグデリバリーシステム(DDS)に利用できる可能性を示唆している。