ミトコンドリア内に存在する、ふつう環状のDNAで、mtDNAと略記することが多い。ミトコンドリアのもつ機能の一部をコードする遺伝情報をもつ。核のDNAに比べてずっと小さく、ヒトの場合、核が30億塩基対あるのに対し、16,569塩基対であり、その配列はすべて解析されている。ミトコンドリアは細胞質内にあるので、母親を通してのみ子へ伝えられる。いろいろな人種についてmtDNAを解析した結果、約20万年前アフリカに居住していた女性が現世人類の祖先であると推定され、ミトコンドリア・イブと名付けられた。このように、核のDNAではなく、mtDNAを比較して、生物の系統を探る試みもなされている。