植物体の一部を切り取ったとき、その傷口周辺にできる癒傷組織のこと。あるいは、植物体の一部を切り取り、様々な植物ホルモンを含ませた培地上で培養してできる人工的な不定形の細胞塊のこと。植物が切り取られると細胞が分化し、細胞分裂は行われない。しかし、たとえば、比較的高濃度のオーキシンとサイトカイニンを培地に含ませると、脱分化、つまり未分化の状態に戻って細胞分裂を再開し、カルスが形成される。これをカルス誘導という。また、オーキシンとサイトカイニンの濃度によって、不定芽や不定根を形成することができる。ちなみに、不定芽・不定根とは、通常、芽や根が形成される頂芽や腋芽、根部以外に形成された芽や根のこと。カルスは遺伝子組み換え作物の作製にも利用されている。必要な遺伝子をアグロバクテリウムという細菌のプラスミドに組み込み、カルスに感染させるという手法で、サントリーが開発した青いバラなどにもこの手法が使われている。