仏教の根本的な教義の一つで、因縁生起の略。あらゆる事象・事物はそれ自体として独立して存在しているのではなく、因(直接原因)と縁(間接原因)の二種の原因が働いて仮に存在しているとする考え方で、この因果関係を見定めることが正しい教えを知ることとされる。あらゆる事象は事象間の相互関係において成立するため、世界には不変の実体として存在するものは何一つとしてないという、空あるいは無我の思想がここから生まれた。生老病死の四苦を本質とする人間は、無明(無知)を究極の原因とし老死を最終の結果とする12の因果が連続して過去・現在・未来をたどり、実体的な自我は存在しない、つまり無我であると説くのが十二縁起説である。