浄土真宗の開祖、親鸞が唱えた説。親鸞の弟子、唯円が親鸞の教えをまとめた「歎異抄」の「善人なおもて往生をとぐ、いはんや悪人をや」という言葉に基づく思想である。末法の世に生きる者すべては悪人であり、自分の力で悟りを目指す修行や善行では救われず、悪人としての本性を自覚し、救いのための一切の自力による行いを放棄し、阿弥陀仏がすべての人間を救うとする約束、阿弥陀仏の本願をひたすら信じ、阿弥陀仏に身を委ねることによって救われるとする(ただしこの場合の「悪」は、単純な善悪でなく、仏教的な意味での「悪」とされる)。親鸞は、すべての者が悪人だからといって、意識的に悪事を行うことは「本願ぼこり」として、厳しく戒めた。(→「鎌倉仏教」)