神仏などのこの世を超えた霊的存在を念じて、何らかのことが実現されることを願うこと。初詣(→「初詣/お盆」)は全人口の半数以上、8000万を超える老若男女が神社・仏閣に参詣する、日本のいわば最大の年中行事である。そこでは、お賽銭(さいせん)をあげ、柏手を打ったり、手を合わせたりして、何事かを祈願している。それは習俗的・慣習的な儀礼行為だと言えるが、神仏などの、この世を超えた存在、超越的な存在を対象としている。また、初詣に次ぐ年中行事であるお盆(→「初詣/お盆」)では、先祖や死者の霊に対して、何らかの祈願が行われる。この先祖や死霊も、やはりこの世を超えた超越的な存在である。このような超越的存在は、この世とは別の「あの世」、または高天原や極楽浄土といった神仏の世界、すなわちこの世の外部にある、日常の経験的な世界を超えた世界にいると想定されている。祈りにおいては、祈りの対象であるこのような非日常的な世界の超越的な存在、祈るという行為そのもの、そして実現を願う祈りの内容を不可欠としている。それは本来的な意味での「宗教」を成り立たせている最も基本的な要素となっている。