第一次、第二次の戦後派文学に対し、その政治性や国際性、社会性について、むしろ対蹠的な態度を取ったのが、「第三の新人」と呼ばれた作家たちだった。小島信夫、安岡章太郎、庄野潤三、吉行淳之介、遠藤周作、島尾敏雄などがそうであり、彼らはその政治性・社会性・思想性の欠如を批判されながらも、戦後派文学の観念性や政治的な党派性に反対する立場で、日常的な生活感覚や、芸術家的感受性を大事にする小説を書き続けた。私小説的傾向が強い。命名者は評論家の山本健吉で、映画「第三の男」などからの連想だろう。同世代の評論家では「メタフィジック批評」を掲げた服部達、村松剛などがいた。