第1回のポプラ社小説大賞が決定した(2006年6月)が、この文学賞で話題となったのは、受賞した作家や作品(方波見大志『3分26秒の削除ボーイズ』)のことよりも、賞金額2000万円であった。これまでにも江戸川乱歩賞の1000万円の賞金はあったが、2000万円は文学賞金としては最高額だ。新聞創刊130周年を記念して06年から始まった日経小説大賞の賞金が1000万円で、これも公募型の賞金としては破格だが、ポプラ社小説大賞の後ではあまり目立たなくなった。
小説現代長編新人賞が300万円、小説すばる新人賞が200万円と、既成の賞も値上げ気味だが、公募型ではない芥川賞/直木賞は100万円、三島賞/山本賞も100万円と、ずっと低額に抑えられてきた。単行本の印税収入や、賞金よりも名誉という面もあるが、文学の世界の活性化や、中堅、長老の作家たちの顕彰という意味では賞金として見劣りがする。野間文芸賞は功なり名遂げた文学者に与えられることが多いが、賞金は300万円であり、文化功労者に賞金はなく年間300万円ちょっとの年金だけだから、日本文学に貢献した最高峰の文学者に対する待遇としては、いささか貧しいといわざるをえない。