これまで在日朝鮮人(韓国人)文学という言い方があったが、在日中国人の楊逸(ヤン・イー)が、第139回芥川賞を受賞して、日本語を母語としない外国人作家の存在がにわかにクローズアップされた。在日朝鮮人(韓国人)作家が、基本的には日本生まれ、日本育ちで、日本語を母語として、永住権を持っているのに対し、留学、就職のために来日したニューカマーが、獲得言語としての日本語を駆使して書いているのが、こうした「在日外国人文学」だ。野間新人賞や大佛次郎賞を受賞しているアメリカ人のリービ英雄や、すばる文学賞を受賞したスイス人のデビット・ゾペティなどの欧米系の作家もいる。今後も、在日朝鮮人(韓国人)文学、華僑(華人)文学(邱永漢、陳舜臣)などとともに、日本語文学の世界での「外国人」の活躍が期待されるのである。