常用漢字表は、法令、公文書、報道機関、その他一般の社会生活で使われる漢字の目安として国が定めるもので、学校の漢字教育の指針ともされてきた。従来は1981年の「常用漢字表」(1945字)が用いられていたが、2010年11月に改定され2136字になった。旧表より、勺、錘、銑、脹、匁の5字が外され、新たに196字が追加された。29年ぶりとなる改訂で追加されたものには、嵐、唄、崖、亀、錦のようによく見かけるものも含まれている。同時に、憂「鬱」、軽「蔑」、「嫉妬」、禁「錮」、「瑠璃」のように、手では書きにくい漢字もある。また、音訓(読み方)も見直され、「委ねる」「育む」「応える」「関わる」「癒やす」、そして「要(かなめ)」「他(ほか)」などが追加された。一時、漢字は学習するのに時間がかかるので、なるべく少なくするほうがよいという意見もあった。しかし、最近では、漢字は表意文字として、その意義が見直されている。さらに、パソコンや携帯電話で簡単に表示できるということもあって、今回の改定ではこれだけ多くの漢字が追加されたと思われる。なお、国語に関する世論調査(平成21年度)では、追加漢字について、「読みにくいので、仮名書きが望ましい」と指摘されたものには、語「彙」、「毀」損、「恣」意、隠「蔽」などがある。また、「読みにくいので、振り仮名を付けるのが望ましい」とされたものには、以上の他に、「瓦」解、「畏」敬、「憧憬」、「遡」上、辛「辣」などがある。