奈良県桜井市箸中にある、古墳時代初頭(3世紀)の前方後円墳。全長が約278メートルと大型であるが、漢尺(1尺は0.231メートル前後)を使い、全長1200尺・200歩に設計したとみられる。前方部が撥(バチ)形に開くという特徴をもち、墳丘の周囲には周濠と外堤がある。畿内系の二重口縁壺や吉備系の特殊器台・壺などが採集されている。この時期、箸墓古墳を正確に2分の1や3分の1に縮小した古墳が各所で築造されたことから、本古墳は古墳時代開始期の古墳モデルであったと推定できる。現在、「日本書紀」にみえる倭迹迹日百襲姫命(やまとととひももそひめのみこと、孝霊天皇皇女)大市墓として管理されているが、邪馬台国女王卑弥呼、あるいはその跡を継いだ壱与が葬られている可能性が少なくない。