福岡県春日市にある、弥生時代の集落・工房遺跡。2015年、春日市教育委員会が調査して、弥生時代中期前半(紀元前2世紀ごろ)の青銅鏡の滑石製鋳型を見つけた。青銅鏡は多鈕鏡(たちゅうきょう)とよぶ鈕(ちゅう、つまみ)が二つある朝鮮半島系のものであり、本鋳型は国内最古の鏡鋳型である。従来、鏡は武器類に比べて舶来品が尊重され、国産が遅かったと考えられていたが、日本でいろいろな青銅器を一斉に作り始めた可能性を示すものである。また有柄式銅剣(ゆうへいしきどうけん、剣身と柄を一体として鋳造したもの)の石製鋳型も見つかっている。これは朝鮮半島・日本を通じて初めての発見である。従来、この地は弥生時代の強国である奴国(なこく)の中心地であり、弥生時代中期後半以後に栄えたと考えられてきたが、本資料は当地域がより古い段階から一大中心地であり活発な青銅器生産をおこなった工房があったことを示すと考えられる。