イギリスの女流作家バロネス・オルツィの小説「紅はこべ」(タイトルはその原語読み)を原作とするミュージカル。脚本・作詞ナン・ナイトン、作曲フランク・ワイルドホーンにより1997年にブロードウェイで上演され、ロングランとなった。日本では、小池修一郎潤色・演出により、宝塚歌劇団星組で2008年に上演され、主演コンビ、安蘭けい・遠野あすかの代表作の一つとなった。フランス革命の裏面史ともいえる内容で、恐怖政治で弾圧される人々を救出しようとするイギリス貴族の活躍と、フランスの人気女優だったその妻、そしてかつてその恋人だった冷酷な革命委員との絡みで、愛と冒険の波乱に満ちた筋立てと名曲の数々が観客を魅了する。原作がかつてよく読まれたことと、「ベルサイユのばら」の存在が、日本での成功の背景にある。10年には、月組の霧矢大夢・蒼乃夕妃、17年には星組の紅ゆずる・綺咲愛里と、いずれも新トップコンビの宝塚大劇場お披露目公演となった。宝塚以外のプロデュースによる上演もあり、「エリザベート」や「ミー&マイガール」「ロミオとジュリエット」と同様のパターンにより、日本ミュージカルの定番演目になりつつある。