1920年5月9日京都生まれ。戦前から映画女優・歌手として活動する。戦後は3年近く闘病生活を送るなどの苦労を重ねたのち舞台やテレビに復帰。58年、梅田コマ劇場に出演していたところを菊田一夫に見いだされ、東宝の専属となり東京の舞台の脇役などで活躍する。61年、菊田の作・演出による「放浪記」で主人公の林芙美子役に抜擢(ばってき)され、この成功により主演女優としての地位を確立する。以後、持ち役として再演を重ね、2005年通算2017回に達した。このほかの主演作「おもろい女」「雪まろげ」なども、女優を中心に良質の脚本と手堅い脇役陣によって、高いレベルの舞台を生み出していたかつての東宝演劇の代表的作品である。その一方で「天国の父ちゃんこんにちは」「時間ですよ」などの人気テレビドラマにも多数出演し「日本のお母さん」と呼ばれる存在となった。1984年紫綬褒章。2005年文化勲章。09年国民栄誉賞。12年11月10日死去。