1950年4月25日生まれ。江戸三座の一つであった森田座(安政期に守田座と改名)の座元の名跡を受け継ぎ、昭和後期に二枚目役者として活躍した14代目守田勘弥(もりたかんや)に師事。のちに養子となる。その父が若き日に名乗っていた玉三郎の名を64年に5代目として襲名。以後一貫して坂東玉三郎を名乗り大看板とまで言える存在にした。三島由紀夫に注目され、「椿説弓張月」で大役を与えられる。美貌ゆえに若くして人気が高まり、片岡孝夫(現15代目片岡仁左衛門)との孝玉コンビでブームになるが、父の教えを守り、舞踊や音曲の修業に勤しみ、7代目中村芝翫などの教えを受けて芸を磨き、大役を次々と演じて現代を代表する女形(おんながた)となる。一方で、舞台・映画の演出にも積極的に取り組み、モーリス・ベジャール、ヨーヨー・マ、アンジェイ・ワイダ、鼓童、昆劇、組踊などとの協働により幅広い成果を上げ、世界的な評価を得る。また、「天守物語」「海神別荘」などの泉鏡花作品や、新派の演目もレパートリーとして定着させている。伝統の継承と次代への伝達にも強い意欲を見せる。2012年人間国宝。