浄瑠璃(三味線伴奏による語り物)の一種。初代竹本義太夫(1651~1714)が、1684年に竹本座を開いて創始。1703年には豊竹若太夫(1681~1764)が豊竹座を開き、以後二座が競い合って発展する。太棹(ふとざお)の三味線を用い、ドラマチックな語り口で、情景描写・心理描写に優れ、人形浄瑠璃の語りとしては最適であった。現在も文楽および各地の人形芝居に用いられている。近松門左衛門の心中物や、現在でも屈指の人気作品である「仮名手本忠臣蔵」「菅原伝授手習鑑」「義経千本桜」なども義太夫節のために書かれた。義太夫節はそれらの演目とともに歌舞伎にも取り入れられ、歌舞伎独自の作品も作られるようになる。現在の歌舞伎では義太夫節は「竹本」と呼ばれ、いわゆる丸本物(まるほんもの)をはじめとした多くの演目で重要な役割を果たしている。義太夫のみで演奏されることもあり、明治・大正年間には「娘義太夫」が大流行した。