ドイツ中央部に位置するヘッセン州の古都カッセルで、1955年以来、4、5年に1回の割合で開催される現代美術の大型グループ展(カッセル・ドクメンタ)。100年以上の歴史を誇るヴェネツィア・ビエンナーレに匹敵するもので、当初はナチスに禁止されていた現代美術の復活を願って開催されたのが始まりとされている。一人のディレクターがテーマを選出し、作家選定も一任されているのが特徴。2012年6月9日から9月16日まで開催された第13回目のドクメンタでは、アメリカ人キュレーターのカロリン・クリストフ=バカルギエフがディレクターを務め、原点に返る「崩壊と再建」というテーマで、約100人のアーティストが参加し、絵画、彫刻、パフォーマンス、写真、動画などを通して、第二次世界大戦で破壊されたカッセルの街と住民を想起することに主眼が置かれた。日本からは唯一、洋画家の大竹伸朗(しんろう)が参加し、カールスアウエ公園内に「モンシェリー」と題したインスタレーションを設置した。